尾翼の上下位置と舵の効き (2005.03.25)

以前、ある方から「グライダーならエレベーターが主翼の陰になっても舵の効きにはあまり関係がない!」と言われたことがありました。
このとき僕は、彼が真剣に言っているのか?それとも冗談で言っているのか?その表情から察することができませんでした。

でももし、尾翼が主翼の陰になっても効くのであれば空気抵抗を飛躍的に減らすことが出来ます。
野望が僕の猜疑心を上回りました。「欲の皮」をツッパらせて実験せねばなりません。

実験方法

実験には矩形翼ではなく、楕円翼のほうが向いていると予想しました。

Aタイプは機体を正面から見て絶対に水平尾翼が主翼の陰になって見えないように製作。

Bタイプは機体を正面から見て遮蔽物ゼロで水平尾翼が見えるように製作。

これで飛ばし比べます。

Aタイプ
主翼に隠れた尾翼の結果

通常の舵角では小舵さえロクに効きません。アップの舵もダウンの舵もかなり遅れ、機体が失速する頃に効き出します。連続宙返りなどできるはずもありません。

ファンフライや一部の曲技機のように特化された機体でなければ使い物にならないように思いました。

・・・没!・・・

Bタイプ
剥き出し尾翼の結果

Aタイプに比べ素直そのもの。細かな舵(細かな打ちミスさえ)も指に着いてきます。

隠れ尾翼には戻したくありません。
「なぜ効かないのか?」を検証

後ろから見た機体の影と水平尾翼
主翼に隠れた尾翼の動き

← 薄い主翼では出来ない実験です。

尾翼を動作させてもほとんどの部分が機体の影になっていて動翼が風を受けるのはフルアップもしくはフルダウンに近い時のみです。

尾翼をこのマウント位置にした場合は薄い主翼、大きな翼幅、もしくは大きな翼弦の動翼を用意する必要があります。

以上から、このマウント位置にある尾翼は機体サイズに対して大きな面積を必要とするので「効率の悪いマウント位置」と言えます。

後ろから見た機体の影と水平尾翼
剥き出し尾翼の動き

隠れた尾翼に対して飛躍的に動翼の有効面積が増えています。

事実、同じ尾翼をこの位置にマウントし直しただけで連続宙返りが可能なまでにエレベーターの効きが改善されました。

僕はもう、実験以外では隠れ尾翼仕様は使わないと思います。

後ろから見た機体の影と水平尾翼
同じ動翼面積を持つ最近流行りの形状の尾翼

作動させた尾翼(アップの舵)が機体の陰になる面積が減っているので効率の良い形状だと予想できます。

また、同じ翼面積で翼幅のある尾翼も同じ理由から効率の良い尾翼だと予想できます。

効率の良い、効く尾翼であれば小さく軽い尾翼が理想です。今後はその方向で実験を重ねようと思います。
特記事項

SAL機に使うか否かは別にしてT尾翼の効率はかなり良いと確信しました。

ちなみに某氏は僕に”冗談で「隠れ尾翼OK」発言”をしたようです。(^^;
(Macrophage/実験日:2005.03.20)

                    

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