格子組十字尾翼のシシオドシ症状

以前製作した機体(BRIDGET)の尾翼は強度以外のことは考えなかったので格子組にした十字尾翼を採用しました。

しかし、この機体は旋回のためにバンク角を深めていくとある角度に達すると必ずカクンと傾く”シシオドシ”の症状が出ました。もちろんバンクを戻すときにも”シシオドシ症状”が起こりました。

また、この症状のせいで横風や追い風のときには大きく高度を落とします。これではサーマルゲットが難しいので原因を検証しました。

まず、原因を予想します。
まずは水平飛行時の姿勢。(バンク角0度)

← 茶色の十字がBRIDGETと大きさ比の等しい尾翼です。

向い風なら問題なしですし、よほど強くなければ横風も問題なしです。
バンク角10度のとき

水平尾翼の有効面積を水色。
垂直尾翼の有効面積を桃色。
打ち消されて効果のない部分を赤として考えます。

この程度なら支障ありません。
バンク角30度のとき

水平尾翼の有効面積を水色。
垂直尾翼の有効面積を桃色。
打ち消されて効果のない部分を赤として考えます。

30度まで傾けると垂直尾翼の有効面積がほとんどないことがわかりました。
しかも、水平尾翼の有効面積が翼端部分のみに集中しています。

これではサーマル(上昇気流)に入っているときには風見効果で水平尾翼が立て方向に逃げようとするでしょう。しかも有効面積が翼端にあるのでテコの原理で”シシオドシ状態”になったと思われます。
(こうなると長い水平尾翼はアダでしかありません)

以上の結果から、格子組み十字テールは舵の効きが悪い上に、機体を不安定にする風見効果だけは働く尾翼だと予想できます。
検証実験
上記の症状は垂直よりも長い水平尾翼を持つこの機体の弱点なのか?

検証しましょう。
検証するためハサミでカットしました。

予めマーキングしておいて現地でチョッキンです。
やはり両端を10mm切っただけでシシオドシの症状が少なくなりました。

以上の結果からBRIDGETの最大の特徴である格子組十字尾翼は尾翼同士が影を作りあい、また、収納性を考えて垂直尾翼を短くしたことでサーマルゲットには不向き(最悪)な尾翼形状であると言えます。

でも、カットしたおかげで尾翼面積が小さくても案外飛んでいられることがわかりました。
今後の課題
次に作る尾翼はセパレートタイプで
@ 翼幅が長がコードの短いもの
A できる限り小さい楕円翼
 を試そうと思います。
(BRIDGET/実験日:2003)

                    

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